アドカレの振り返りと来年やりたいゼミなど

修士1年の「じふ」と申します。

この記事はワセマ 裏企画 Advent Calendar 2025 - Adventar の最終日の記事として書いています。最終日の記事を書くつもりはなかったのですが、勉強・研究のやる気が出ないのと、流石に最終日は書いて締めなければ協力してくれた方々に申し訳ないという義務感と、忘れないうちに言語化しておきたい気持ちが浮かんできたため突発的に書き始めています。

現在12/25の21時53分。皆様今年のクリスマスはいかがお過ごしでしょうか。私は昨日は昼に起きてそこから品川で対バンライブを夜まで楽しんでました。本日は夕方近くに起きて、流石に何かしないとまずいと思って、近所のガスト(今日まで33%オフのクーポン有)に来てパソコンカタカタ、気が向いたら論文を読むなどしています。

 

裏アドカレ企画について

背景

 サークル創設元年から毎年アドベントカレンダー企画をやっております。この企画が個人的にめちゃくちゃ好きです。サークルで直接的に関わることのない人でも、その人の好きなことや勉強していることを知る機会になります。B1の頃は、書きたくても書くネタがないのが悔しくて、その後1年間ゼミ活動に取り組んだものです。

サークルには毎年30~50人ぐらい入会するようになり、一方でOB・OGも少しずつ増えています。そこで自分の思いとしては

  • 内容・学年に関するアドカレ参加のハードルを下げたい(特にB1・B2)
  • OB・OGも参加できるようにしたい

というものが主にありました。1つ目は単純な老婆心以外に、「高尚な内容じゃないと申し訳ない」というハードルを下げたいということ。2つ目は自分がこれからもサークルに関わり続けたいという老害マインドがまずあります。また、会員の皆さんにもずっとサークルに関わり続けて欲しいというお節介マインドです。 "LTV" (Life time value)っていう、就活でよく聞く言葉あるじゃないですか、アレですアレ。私が実現したいのは"ワセマ LTV"なんです。(鼻につく表現だったらすみませんm(._.)m)

反省

まず第一に、寄稿してくれた皆様

本当にありがとうございました!!!!

結果を振り返ると、Adventarでの枠が埋まってるのはこの記事も含め25日分の14日です。最初から全部埋める気ではありませんでしたが、肝心の第3週以降全然埋められなくてすみませんでした。院生は就活や研究で忙しいし、OBで社会人になってる人はもちろん忙しいですよね。空いた分はおれが全部書くぐらいの気持ちでいたのですが、自分も今月がちょうど就活最終フェーズで学会発表もありコミットできず。

また、当企画のせいで院生がアドカレ(表の)企画に参加できなくなったり表企画の方が埋まらなくなるのも申し訳ないので、そこは禁止にはしなかったのですが、この配慮も完全にうまくはいってない気がしてこの辺も反省点。

来年度に向けて

反省点ばかりですが、自分としては

  • 現役代になるべく迷惑をかけずに
  • 院生やOBOGを巻き込んだサークルの活性化

こそが当サークルに関わってきた身としてずっと追求していきたいことです。だから、アドカレの参加枠を増やすような仕組みは(この企画のような形でなくとも引き継ぎ方など考えながら)来年も作りたいと思っています。その他にも忘年会とか、イベントの主催をして盛り上げていきたいと思ってます!

 

就職活動を経ていろいろ自分の人生について考えてみたんですが、自分のやりたいことは結局

  • 好きなことを好きと言える
  • 各々の長所に価値が付く

そんな世界を作ることだと気づき、その実現に少しでも近づけるような人生を目指したいと思うようになりました。(痛い自分語りですが忘れないように書き留めます)

 

こんな意味でも、学術で交流ができるコミュニティにはずっと関わりたいと思っているのです。

 

来年もいろいろ出しゃばるかもしれませんが、老害おじいちゃんだと思っていろいろ意見をぶつけてやってください。

その他:やりたいゼミなど

今年度は6月から就活三昧でゼミが全然できてないのですが、今月で就活終了し来年は時間が作れると思うのでゼミ活動の方もしっかりやりたいです。いま興味があることをざっと書きます。

  • Besov空間やOrlicz空間の理論
  • 流体数学全般(特に2D Navier-Stokes)
  • 乱流に関する物理や工学の理論 (数学ならKuksin "Mathematics of two dimensional turbulence"とか、K41 theoryに興味あり)
  • ランダム力学系やエルゴードの理論
  • 無限次元の確率解析( Janson "Gaussian Hilbert Spaces"とか)
  • SDE、PDE、SPDEの数値計算
  • HairerのRegularity structure
  • Levy過程についてなんか知りたい
  • 拡散モデルなど機械学習手法を理論学びつつ実装したい
  • Web開発

修士で学生生活を終える予定なので、後悔のないように数学やって終わりたいです!

あとはデータサイエンスを実装の面からできるようにしたいのと、Web系周りのIT知識も身につけたいなと思ってます。

気になる方がいたらぜひ声かけてください!(学外の方でも)

 

殴り書きの自分語りをここまで読んでくださった方ありがとうございました。

よいお年を〜

 

 

おまけ

今年のベストソングです。聴いてください。

youtu.be

 

 

現在12/25の23時25分、ギリセーフ!

西早稲田民のための銭湯・サウナ情報まとめ

はじめに

西早稲田にある某大某理工修士の「じふ」です。修士にもなると、「今日は研究室に泊まりたいな...」って日ありますよね。そんなあなたのために、私の半年程度の経験から、キャンパスから徒歩で行ける銭湯・サウナ施設の情報をできるだけ網羅してここにまとめます。

だいたいこの辺です。

 

注意点

新宿区の銭湯は入るのに基本料金550円がかかります。昔ながらの銭湯って感じのところはだいたいこの値段で入れます。確か10回分の値段で11回入れる回数券があるんですが、そこまでお得じゃないのと紛失のリスクがあるので買ったことないです。サウナがある場合は追加料金を払うと入れます。

シャンプー類は基本的にあります。タオルはフェイスタオルが無料でレンタルできるところ、全て有料なところがあります。また、550円の施設はドライヤーが有料(3分20円)のパターンが多いです。

また、朝営業している銭湯は基本的になく遅い施設でも深夜1時がタイムリミットです。サウナ施設ならどんな時間帯でも使えるところが多いですが料金がかさみます。

ロッカーは比較的余裕のあるサイズのところが多く、よほど大きい荷物じゃなければロッカーの心配はしなくていいと思います。

 

1. 万年湯

多分リコキャンから1番近い(10分もかからない?)。新大久保の福しんの隣にあります。めちゃくちゃ綺麗で、レンタルフェイスタオルが1枚無料で使えます。番台さんがすごく優しい雰囲気で初めてでも怖くない。サウナはないが水風呂(19度ぐらい)があります。45度ぐらいの高温風呂もある。良いところなので基本的に混んでますが私は1番よく使います。QR決済使えます。ドライヤー有料。

 

2. 世界湯

高田馬場神田川の方にあります。タオルセット100円、サウナを使う場合はタオルセット込みで1100円です。遅くまでやってるのが良い。

  • 営業時間:15:00~25:00(木曜定休)
  • 公式X

 

3. 豊川浴泉 

都電荒川線面影橋の方にあります。風呂は小さめだけどめちゃくちゃ綺麗で外見も内装もオシャレです。貸しタオル50円でドライヤーは無料。12月8日まで工事で休業中です。

 

  • 営業時間: 16:00~23:30(月金定休)
  • 公式X 

4.東宝

東新宿駅の近くにあります。行ってみたら分かるんですが隠れ家的な雰囲気というか、昔ながらの街の銭湯って感じがすごく好きです。

  • 営業時間15:00~24:00 (金曜定休)
  • 公式HP

5. 松本湯

東中野の方にある。キャンパスからは遠いけど綺麗ですごく良いところ。ロビーにあるあれこれを見ると人気の場所なんだなとわかる。

6. 金泉湯

早稲田通りの一風堂あたりにある銭湯。看板が光ってないので夜は見つけにくいかも?めちゃ静かな印象。タオルは無料で1枚レンタル。

金泉湯(新宿区|高田馬場駅) 昭和の風情にひたって「湯っ足り」できる早稲田の銭湯 | 【公式】東京銭湯/東京都浴場組合

 

7. 弁天湯

東新宿の通りを外れた若松河田の方面にあります。キャンパスからはちと遠いがすごく良いところ。コインランドリー併設。タオルはレンタルで1枚10円です。サウナ使う場合は1100円。薬湯があった気がする。

  • 営業時間: 14:30~最終受付0:30(水曜定休)
  • HP

8. SOLA SPA 新宿

サウナのあるスパ施設です。歌舞伎町タワー前のゲーセンの地下にあります。上記の銭湯がやってない時間帯に行こうと思ったら歌舞伎町の施設に行くことになります。深夜〜明け方の歌舞伎町歩いてみるのもたまには楽しいですよ。

料金は1h利用の場合だと平日1500円、休日1600円です。上記の銭湯に比べたら高いですがスパ施設であり立地も考えると致し方ない。

店舗紹介 | 温浴施設ソラスパ【公式】

 

9. 金沢浴場

東新宿にあります。ずっと工事していて来年3月下旬リニューアル予定。行ったことないので行ってみたい。

 

10. テルマー湯

歌舞伎町です。ずっと営業してたはず。高いのでまだ行ったことありませんが1回は行きたいです。

 

11. AKスパ

同じく歌舞伎町。テルマー湯よりは安い。行ったことないので行ってみたいです。

12. 馬場サウナ

洋服の青山がある交差点にあるサウナ・カフェ施設。ちょっと値も張るので行けてないが平日を狙って行きたい。

 

番外編: シャワーだけ浴びたいとき

新宿スポーツセンターを使える人ならそこのシャワーを使うという手があるらしいですがよく知りません。

 

まとめ

大学泊の民に1番おすすめしやすいのは万年湯です。定休日の土曜日なら世界湯に行って馬場で夜ご飯食べることが自分だとあります。深夜とか明け方に使いたいならサウナ施設ですね。まだ歌舞伎町はSOLA SPAしか行ったことないので年内にもう少し開拓したいと思います。誰に需要があるのかわからない記事をここまで読んでくれた方ありがとう。良い大学泊を。

談話会に参加してきた話と数物セミナーの思い出

はじめまして。数学科4年のじふと申します。Twitterは@mafigure0608でやっております。

今回数物セミナーの談話会に運営様の方からお招きくださったので、せっかくだからこちらのアドカレでも書いてみようかと思います。

 

談話会とは?

 そもそも数物セミナーには「談話会」なるイベントがあるのをご存知でしょうか?

数物セミナーといえば合同合宿かと思いますが、実は合宿以外にも不定期に「談話会」というイベントを開催しています。談話会では、大学の教室を借りて、有志で集まった講演者によるちょっとした講演会が行われます。

 コロナ明けからは1年に1回程度の開催頻度ですが、コロナ前は結構頻繁にやっていたみたいです。過去の記録が

数物セミナー 談話会

から閲覧できるのですが、自分の大学の先生の名前を見つけたときはめちゃくちゃ驚きました(笑)

 

 

海洋大談話会

2024年11月30日(土)、東京海洋大学品川キャンパスにて談話会が行われました。この年の夏の数物セミナー合同合宿で自分は流体力学班に参加して数学をしていたのですが(?)、そのときに同じ班にいた運営の方が声をかけてくれて発表をすることになりました。今回のテーマは主に流体・微分方程式ということで、結構ノリノリで引き受けましたが話す内容は結構悩みましたね。

 

発表

 自分が微分方程式関係である程度頑張ったテーマとして、春に研究室のセミナーでやった「作用素半群」というテーマで発表をしました。BeamerどころかTeXすらまともに触ってこなかったので、余裕をもって1か月ぐらい前からスライド作成を始めました。Beamerってすごいですね。あのテンプレ使うだけでデザイン素人でもまともなスライドが作れます。

 発表の一週間ほど前に大学の方で聴講してくれる方を集めて発表練習をしたんですが、そこでスライドのミスも大量に見つかって、その反省を生かして当日は時間もちょうど良くおさめることができたので発表練習ってやっぱ大事ですね。談話会ってめちゃくちゃ入念に準備しなきゃいけないほど厳かな会ではないと思うんですが、発表初めてで不安だよって人はちゃんと練習した方がいいと思います。

 スライド作ってくなかで内容が頭の中でよく整理されたので、こうやって発表したりまとまった資料を作るのはおすすめです。自分もこれからこういうことをどんどんやっていこうと思います。

 ちなみにスライドはこちら

 

談話会を終えて

実は談話会から帰ってきてすぐにこの記事を書いています(モチベが高まっているので)

今回はテーマがある程度決まっていたので聞きやすくて楽しかったです!

数物セミナーの人たちと合宿でしか会う機会がないのは非常に勿体無いので、こういう機会があるのは大切だなぁって思いました。呼んでくれた運営さんありがとう。

大昔に早慶談話会とかいうのをやっていたようで。今のspmは慶應勢力が少ないので開催は難しいかもしれませんが、早稲田開催は卒業までにやってみたいですね〜

あと、海洋大とその周辺すごく落ち着いてて綺麗でいいですね。立地抜群だし普通にここ通いたい。

 

海洋大から天王洲アイルに向かう橋

 

鯨の骨が展示されてる(?)
土曜なので大学の施設はどこもお休みだったけど行ってみたかったな。

おまけ


数物セミナーの思い出

談話会の話だけじゃ内容が薄すぎますね。もう学部卒業ということで、自分と数物セミナーとの関わりについて少し書こうかと思います。

これまでに合同合宿は24th(御殿場)、Adv4th・26th(淡路島)、27th(磐梯)に参加してきました。数物セミナーに初めて参加して衝撃的だったことは、みんな自分の好きなことについていくらでも話せるんだなぁってことですね。食事中も初対面の人と数学や物理の話が始まるのは普段生活してたら絶対経験できないことだと思います。最終日に朝5時ぐらいまで永遠に数学の話をしていた(自分は永遠に聞く側でしたが)のは一番の思い出かもしれません(笑)

運営には携わったことないのですが、合宿の参加が4回目になる27thでは初参加のB1, B2の人たちに「数物セミナーというのはだな...🥸」と語りかける老害ムーブをやりかけました。よくないですね。なのでこれからはAdvancedの方にしか参加しません(笑)

28thは2期開催とかいう思い切った試みをするらしく、運営の皆さんがんばれー!!という気持ちです。

ある程度参加経験があるからこそ言えますが、本当に良い経験になるので参加を躊躇っている方はぜひ抽選申し込むだけでもした方がいいですよ。

数物セミナーAdv6thの宣伝

3月ごろに御殿場の方でAdvanced合宿が行われます。そこで自分は関数解析班の班長に立候補しました!

A.Lunardi「Interpolation theory」をテキスト候補にあげていて、本はこれじゃなくてもいいのですが、作用素の分数冪とか解析半群を理解する助けになるかもしれないと思い、「補間空間論」というのに手を付けてみたいと思っています。正直自分はこれがどんな分野なのか全然知りません...このぐらいのノリでリレーセミナーをやるのが数物セミナーだと思っているので(笑)、もし関数解析の知識がある程度あって興味があるという方はぜひ来春のAdv合宿にご参加ください!!!

(学部)卒業文集

はじめに

今年もWathematicaアドベントカレンダーの季節がやってまいりました。皆さん真面目に学術的な記事を書いてらっしゃると思いますが、ここでは大学入学から今まででWathematicaでやってきたことを振り返るという、外部に公開する需要が全くない自己満企画をやろうかと思います。1年生ですら真面目に何かを勉強して「アドカレ間に合わねぇ〜!!」とか言ってるのにこんな書き殴り記事でごめんなさい。本来アドカレなんてこんな軽いノリでええんやで。

 

早稲田大学入学!

今とは違って入学当時はコロナ2年目でした。大学の対面授業は復活してきた頃でしたが、公認サークルは夏頃まで対面活動を(実質)禁止されていました。そのため入学式でのビラ配りのような恒例行事はなく、サークルは自分でマイルストーンSNSで見つける時代でした。

入学前からサークルのことはいろいろ調べてたんですが、大学入学前って勉強モチベがめちゃくちゃ高まっている人ともう勉強なんて1秒もしたくないって人の2通りに分かれますよね。自分は前者だったので、学術系のサークルを軸にサークル探しをしていました。(もう少しキラキラしたサークルにも怯えず参加すればよかったな

Wathematicaは自分が入学する直前の3月頃に正式に設立されたので、多分マイルストーンには載ってなくてTwitterで見つけたんですかね?オンラインでの説明会に参加したりして、面白そうだったので入会しました。入学後にはちょっとした交流会などもあってそこで先輩たちとも会えたんですが、基本的に対面のゼミ活動はできませんでした。

初めてのゼミ

ではやってきたゼミを覚えてる限り数えて振り返っていこうと思います。

(立ったけど結局まともにやらなかったゼミや新歓・合宿・単発企画はノーカウントです)

長く続いたゼミもあり時系列がキモいかもしれませんが許してください。

1. 砂川理論電磁気学ゼミ

オンラインで基本的に聴講って感じでした。当時は物理モチベめちゃくちゃあったので参加したんですがそこまでちゃんと理解できてないですね。この本は友達にあげちゃいました(笑)。ついては行けませんでしたが後半の電磁波ぐらいまでやったのでわりといい経験だったなーと思ってます。

2.アルゴリズム集中講義

先輩がソートとかのアルゴリズムを解説してくれる会でした。すげーって思いながら聴いてました。

3. 日本語ゼミ

B2ぐらいまでは言語学モチベが結構ありました。戸次(べっき)先生の「日本語文法の形式理論」という本を夏休みの間限定で読んでました。初めて形式言語学に触れて、初めてのゼミ発表もできて結構楽しかったです。ちなみにこの本読むモチベはもうないので欲しい人いたら言ってください。

4. 複素解析ゼミ(11月〜B2の5月

夏終わった9月、10月に何かをしていた記憶がありません。コロナ禍ってのもあるんですがB1の1年間虚無だったんですよね...ワセマの後輩がB1からガンガン活動してるの見るとちょっと羨ましさを感じます。自分もワセマがなかったら本当に何もない1年間を過ごしていたんじゃないかと思います。

早稲田祭が対面開催され、サークルの対面活動も解禁された秋。同期が神保道夫先生の「複素関数入門」を提案してくれてこのゼミが始まりました。

神保道夫「複素関数入門」(岩波書店

授業の内容もまともに勉強してなかった自分は普通の微分積分で苦戦しましたが、初めてのゼミをやるのにとても良い本だったと思います。ほぼ1冊読み切れた時は達成感ありましたね。

5.数学基礎論ゼミ(12月~B2の8月)

高校生の頃に「数学ガール」を読んで証明論みたいなやつやってみたいなぁと思ってたんですよね。エンダートンの「論理学への数学的手引き」を読みました。今まで見たことない世界すぎて面白かったですね。コンパクト性定理とかで頑張った記憶があります。このゼミのおかげでB3の基礎論の授業は結構助かりました。

ちなみに1階論理の途中ぐらいまでやって各自のモチベとキャパがなくなり自然消滅しました。その翌年の春から1つ下の代が主導で同じ本を読むゼミが始まったのですが、そちらは完全性定理も不完全性定理もやって完走しました。すごい。

6. 群論ゼミ(1月~B2の7月)

初めてゼミ長を務めました。みんな大好き赤雪江ゼミです。最近は我らが某先生がより初学者向けに分かりやすい代数の入門書を書かれたので読む人は減ってきていると思うんですが、やっぱりB1でやる自主ゼミといったら雪江代数じゃないですかァ!?(老害

男には泣いていいときが3つあります。それは準同型定理が意味わからなかったとき、シローの定理が意味わからなかったとき、そして有限アーベル群の基本定理が意味わからなかったときです。

ちなみに準同型定理以外は今も何もわかってません。

番外編1:新歓ゼミ

自分が入った当初はまだサークル自体ができたばっかりなのでそこまで規模の大きい新歓はしてなかったんですが、2022年度からはもっと力を入れようということで、「新歓ゼミ」が始まりました。この企画、最初に聞いたときは「そんなの参加してくれるんか?」って思ってたのが正直なところなんですが、結果として新入生がたくさん入ってくれる新歓の恒例行事となりました。

2022年は集合論ゼミ、2023年は線形代数ゼミを担当しました。普通に自分の復習になって良かったです。

進級、数学科に配属!

7.確率統計ゼミ

B2となり数学科に進級しました。どうでもいいですが入学当初は応用数理学科の方に行きたいと思ってたんですよ。それで結局数学科に進学したのは1年生の頃の数学科の先生による特別授業と、ワセマのゼミ、同期の数学科進学勢の存在が大きいかなと思ってます。

そんな4月ぐらいから始まったのが確率統計ゼミです。他学科の同期・先輩と一緒に久保川先生の「現代数理統計学の基礎」を読みました。その頃はなんとなくで始めた数理統計ですが、今はめちゃくちゃ好きで統計検定を受けたりするぐらいにはなっているので、このゼミでもっとちゃんと手動かして演習解いてればよかったなぁと思ってます。(泣)

推定の途中ぐらいで空中分解しました。統計検定1級の統計応用に出るようなテーマでまた統計のゼミしたい。

8. 雪江整数論ゼミ(5月〜年末)

雪江先生の初等整数論の本を読みました。平方剰余の相互法則とか、簡単なペル方程式とかをやりました。代数的パートは体論が勉強し終わったらやろうかなと思ってゼミが終わったんですが、代数はもういいかな(汗)

9.トゥー多様体ゼミ(8月〜B3の9月)

位相空間の授業が春にあって、それが終わってから始めました。名前の通りトゥー多様体を読むゼミです。多様体といえば黄色い本が有名かと思うのですが、ゼミでやるならこっちの方が良いという幾何専攻の先輩からのオススメです。分厚くて高いですが丁寧で良い本だと思います。いやぁ、微積線形位相の理解度の浅さを思い知らされましたね。「多様体総合格闘技」と先輩に当時言われたのですが、まさにその通りでした。

それでも何とか頑張って、1年かけてストークスの定理までできたので良かったです。

10.青雪江ゼミ(8月〜B3の12月)

自分がゼミ長をやっていたということもあり、群論ゼミから数えたら2年ほど続いた雪江代数ゼミはやっぱり思い出ですねぇ。思い出すぎて去年の自分がこのゼミだけの振り返り記事を書いてます。

ちなみに、今の専攻は解析で、ガロア理論は全く使いません。

これ以外にもいろいろ今の専門に関係ないことをやっていて、それって無駄なんじゃないか?って思う人がいるかもしれないのですが、自分はそうは思ってません。専門を決める前に基礎論とか、多様体とか、代数をやることで、自分の専門はコレじゃないなって思えたので、とても意味のあることだったと思います。青雪江ゼミで気持ちよく終われたことで自分の中の代数に終止符が打てたと思ってます。

何が言いたいかというと、特に専門が決まってないみなさんは興味のあることは将来役立つかとか考えずとりあえずやってみたらいいんじゃないかと思っているのです。

 

11.テンソル代数と表現論ゼミ(春休み〜5月)

名前の通りです。授業の復習がてら線形代数の復習をしたかったのでやりました。どの分野行っても線形代数大事ですよ...マジで。

表現論は復習するモチベすらなかったので春とともにゼミが終わりました。

番外編2:合宿

Wathematicaでは2023年から合宿を始めました。一番の思い出は何?って聞かれたら合宿って答えると思います。合宿っていいよね。

2023年は代数トポロジーをやりました。内容が意味不明だったんですが発表せずになんとか乗り切りました。

2024年は微分方程式班でチューター面して1年生の発表を聞いてました。

あれ、おれ合宿で何してたの?

いよいよ専門を決めるB3秋...

弊学部弊学科では数学特別演習という授業があり、いわゆるプレゼミみたいなことをやります。そちらではエクセンダールの「確率微分方程式」という本を1人で読んで毎週発表していたのですが、そちらがキツかったのもありこの時期から新しく始めるゼミはあんまりありませんね。

12.関数解析ゼミ(10月〜)

宮島先生の「関数解析」の本を読んでます。当時B1の子が参加してくれてすげ〜って思ったのを覚えています。このゼミは現在も進行中なんですが、とうとうバナッハ空間値の微積分とか、スペクトル分解のようなアツいテーマが見えてきました。少なくとも来年の春までは続くと思います。

もうB4!?研究室配属されました

13.機械学習ゼミ(春休み〜)

PRMLを最初から4人で回して頑張ってます。久しぶりにやる純粋数学以外のゼミで、毎回スライド発表形式でやってます。スライド作成の練習になって良いです。理論ばっかりやってると実装もしたくなるのでそろそろ行動に移したい...ゼロつくやるって言ってから5億年経ちました。

最近ついに10章の変分推論に入りそうです。春休み中に完走したいなぁ。

14.実解析ゼミ(6月〜10月)

ずっとやりたかったFollandの「Real Analysis」をB2の2人に向けて発表し続けるゼミでした。おれもB2で測度論ちゃんとやりたかった泣

とりあえず測度論とルベーグ積分の基礎を速習しようってことでこの本の2章までやりました。ゼミはそこで終えちゃったけど本の後半も時間見つけて読みたいです。

15.統計検定勉強会(8月〜11月)

統計検定1級を受けるので、勉強習慣をつけるために週に1度集まって勉強する会を開きました。肝心の検定の方は落ちた気しかしてないのでもう少し早く始めればよかったです...自分が他のメンバーに何か還元できた気はしないけど、後輩が統計を勉強するきっかけを作れたのは良かったなぁと思っています。

番外編3:積読消化ゼミ

院試勢の息抜きとして、「1時間作業をして、勉強した内容を3分で発表する」というのを春学期中にやっていました。普段あんまり読まない本を読む機会にもなるし、時間制限をつけることで結構良い効果があったと思います。みなさんもぜひやってみては。

おわりに

ほんの少しだけ書いてないゼミもあるんですが、自分は聞くに徹してるだけで全くコミットできてないものなのでカウントしませんでした。

カウントした結果、4年間で15個ですか、、、、意外と少ないなという感想です(笑)

ここまで読めばなんとなく察せられるかもしれないんですが、自分はWathematicaありきの大学生活を送ってきました。このサークルに出会えてよかったなぁとしみじみと感じます。今は1・2年生もたくさん入って賑やかになって、サークルのあるべき形になっていると思います。このアドカレ企画も今年は25日分がすぐに全部埋まったんですよ。すごくないですか??いろいろと新しい試みもしていて運営がどんどん大変になっていくと思うんですが、人員は十分だと思うので頑張って欲しいです。老害発言そろそろやめます。

ちなみに、めちゃくちゃ卒業文集みたいな感じ出してますが普通にあと2年間は居座ってます。ワセマの皆さん来年からもよろしくお願いします。

 

おまけ

2024年ベストソング候補です。聴いてください。

youtu.be

青雪江ゼミの振り返り

Wathematicaで行っていた青雪江ゼミがつい先日終了したのでその活動報告をします!

ゼミの概要

その名の通り、使用教科書は雪江明彦先生の『代数学2 環と体とガロア理論』(日本評論社)です。最近新版が出ましたね。

1人1節ぐらいで発表担当をあらかじめ決めておいて発表する輪読形式のゼミを行なっていました。自分が2022年1月頃から群論のゼミをしていたのですが、その続編として2022年夏頃にこのゼミは始まりました。週1回、空きコマを使って90分程度やっていたのですが、特に長期休暇中は予定が合わないことも多く、1年以上続く長期ゼミとなりました。ちなみにWathematicaはありがたいことに今年度から公認サークルとなっているのですが、早稲田大学の公認サークルガイドに掲載している写真の1つは青雪江ゼミのものです。

長続きしたゼミなのでメンバーは入れ替わりがあったのですが、だいたい6人ぐらいでゼミを回していました。最終的には全員数学科でしたが、物理系の人も参加してくれたことがありました。現B3が多数でしたが、B2数学科の2人が最後まで参加してくれましたね。すごい。

内容について

このゼミの方針として、節のタイトルに*がついているものと、演習問題は基本的に飛ばしました。(むずかしいので...)

第1章 環論の基本

このゼミが始まる前の群論ゼミは同じく雪江先生の『代数学1 群論入門』(日本評論社)を使っていて、その続きとしてまずは環論の基本を学びました。イデアルの話とかもうかなり前の記憶になってしまいましたが楽しかったです。一番印象に残っているのは「k代数」かもしれない。この概念が何がしたいのかよくわからなかった。「k代数の準同型」ってのがガロア理論のところですごく重要になります。この章で一番大事なのはもちろん「§1.11 一意分解環・単項イデアル整域・ユークリッド環」ですよね。特にUFDの性質は代数学の授業の試験でもめっちゃ使った記憶があります。この章で示す性質の中には3章や4章でいきなり使うものがあって、出てくる度に戻るのが大変でしたね〜(命題1.11.38有限体の乗法群は巡回群、定理1.12.11アイゼンシュタインの判定法、など)

ちなみに最後のネーター環アルティン環については全然理解できていません(汗)

第2章 環上の加群

前半は線形代数の復習みたいな感じで勉強になりました。後半はザ・代数って感じ。§2.7の有限性の話はその後の体論でも使うのでちゃんとやった方がいいですが、それ以外はガロア理論(方程式の可解性)の理解のためには正直やらなくてもいいです。テンソルの話とか完全列とか自分は全然分かってません(泣)。代数幾何とか代トポとかやりたい人は全部ちゃんと読んだ方がいいと思います。

第3章 体論の基本

今年の4月ぐらいから3章に入りました。ここから体の話。楽しくなります。§3.1は自分が丸々発表担当したんですが結構長くて大変でした。§3.2では代数閉包の存在を示すのですが、Steinitzのアイデアはすごいなーと驚いた記憶があります。あとは分離拡大、正規拡大、単拡大、有限体の性質など大事なことばかりです。演習問題をちゃんとやると代数学の授業のテスト勉強に良さそう。

第4章 ガロア理論

これも§4.1が長い。自分が発表担当だったんですがキツくて基本定理のところはバトンタッチしちゃいました。体の拡大で正規拡大かつ分離拡大であるものをガロア拡大と言って、それをL/K(LがKのガロア拡大)とします。このときL上のK自己同型群のことをLのK上のガロアといいます。ここまで長いこと出番がなかった群論ですが、ガロアの発想のすごいところは、「ガロア拡大な体の列があるとそれが正規部分群の列に対応して、体のガロア群が対応する群の剰余群になる」というところです。それを示したものがガロアの基本定理で、方程式の可解性の証明で一番大事なものになります。この節のあとは具体的な3次方程式や4次方程式の解法を眺めて「方程式が解けるとはどういうことか?」ということをなんとなく理解し、円分体や作図問題、クンマー理論の話を挟んで方程式の可解性の節に入ります。方程式の可解性の証明はめちゃくちゃ長いし行間もあって大変でしたが、何をやっているのか理解できるとすごく楽しかったです。

ゼミを振り返って

「5次以上の方程式に(代数的な)解の公式が存在しない」という言葉は有名な話で、自分は高校生の頃にこの言葉を聞いて、大学の数学に興味を持ちました。数学科に入って理解したいことの1つとしてガロア理論というものをずっと夢に見ていたので、青雪江ゼミをこのような形で終えることができてすごく嬉しいです。このゼミの前身となる群論ゼミはB1の1月ごろに始まったので、そこから数えれば2年近い期間、雪江先生の代数学の本でゼミをしていたことになります。群論ゼミが始まった当時の自分は対面のゼミをほとんどやったことがなく、大学数学の勉強も授業以外ではまともにやっていませんでした。ですので自分は雪江先生の代数学の本を通じて大学数学との向き合い方を学んだとさえ思っています。結局のところ自分は代数学の道には進まないのですが、雪江先生の代数学の本にはたくさんの思い入れがあります。また、ずっと自分がゼミ長をやっていたのですが、長いこと一緒にゼミをやってくれた方々には感謝の気持ちでいっぱいです。

最後に

Wathematicaでは雪江先生の代数学の本でゼミをやるのが伝統みたいになっていて、現在はB2の数学科でやってる「青雪江ゼミ2023」やB1の物理系の会員を中心に頑張っている「群論ゼミ」があります。もしもこの記事を読んでくれた早稲田生でまだ代数学を全然勉強したことがない方がいましたらこれらのゼミに参加したり新しくゼミを立ててみてください。

自分はこれだけ代数のゼミをやっていましたが、実は解析専攻(の予定)でして、もう代数やるつもりはありません(笑)。ただガロア理論はめっちゃ面白かったので、まだ大学の代数の授業もあるし復習したいなーとは思っています。ガロア理論って方程式の話だけだと思っていたんですが、深く学んでいくとガロア被覆とかいう幾何っぽいテーマがあるらしいですね。まぁ自分はその辺はやるつもりはなくて(笑)、代数を勉強するなら方程式の可解性に関するテーマの理解をもっと深めていきたいかなと思っています。図書館でちょっと借りたことがある『ガロア理論の頂を踏む』とか『ガロア理論講義』なんかを読んでみたいなぁ。あと、体論を学んだら雪江先生の整数論の本の最後の方をちゃんと読もうとか思っていたのをすっかり忘れていました。どうしようかなw

 

とりあえずこの辺で。Twitterをブログにしただけみたいなとても雑な記事でしたが読んでくださりありがとうございました。ガロア理論面白いのでぜひやりましょう。

参考文献

[1] 雪江明彦,代数学1 群論入門,日本評論社

[2] 雪江明彦,代数学2 環と体とガロア理論,日本評論社

[3] 石井俊全,ガロア理論の頂を踏む,ベレ出版

[4]足立恒雄,ガロア理論講義[増補版],日本評論社

[5]雪江明彦,整数論1 初等整数論からp進数へ,日本評論社

abがpの倍数ならaまたはbがpの倍数?

もうすっかり寒くなってしまいました。7月に群論の記事を書きましたがそれからもう半年近く経過しているようで、時の流れが早すぎてびっくりします。
今回もサークル企画の一貫として記事を書くことになりました。本日の内容は"環論を使った整数の性質の考察"です。多くの方に読んでいただけると嬉しいです。

本題

本日のテーマは次の命題です。

命題
 a,bを整数、 p素数とする。
このとき、 ab pの倍数ならば aまたはbpの倍数となる。
この記事のタイトルにも使った主張です。
皆さんだったらこの命題をどのように証明しますか?
多分高校生の頃の僕だったら次のように考えます。
証明?
abがpの倍数ってことはabの素因数分解(aとbの素因数分解を合わせたものと同じ)に素数pが出てくるからaの素因数分解かbの素因数分解にpが出てくるのでaまたはbが絶対にpの倍数!
これは正しいことを言っているようで実はめちゃくちゃなんです。
最初の「abがpの倍数ならabの素因数分解にpが現れる」が実は明らかではありません(逆は明らかですが)
a, bがともにq, rという素数だとして単純化しましょう。このときの主張は
 qr pの倍数ならばq=pまたはr=p*1
となりますが、これは"素因数分解の一意性”によって保証されます。
そして素因数分解の一意性の証明に実は最初にあげた命題を使うので、上の説明は循環論法になってしまうのです。

これが命題にちゃんとした証明を与えるべき理由です。これから証明を与えますが、この命題が自明でないということが分かっていただければもう十分です(笑)。素数、約数、素因数分解といった根本的な概念に戻る必要があるので、僕はこの問題意識を理解するのにかなり苦労しました。正直まだ完全に頭の中で繋がっていないような気がするので、上の説明に関して何か質問や補足がありましたらコメント欄かTwitter (@mafigure0608)までお願いします。

証明の方法

命題の証明方法としてはユークリッドの互除法の帰結として初等的に示すのが一般的かと思います。ただ、その方法で証明している記事はおそらくたくさん存在するのでこの記事では整数の集合 Zが環になることを利用して環論を用いた証明を与えます。(結局最後にユークリッドの互除法を使います。)
環論の言葉を使うと命題は (p)が素イデアル」と言い換えることができます
この言い換えを理解するためにこれから環論の概念をいくつか見ていきましょう。

イデアルと素イデアル

まずは環論で非常に重要な概念である"イデアル"の定義を述べます。(環の定義は省略させていただきます)

定義(左イデアル)
 Aを環とし,  I Aの加法に関する部分群とする。 I Aイデアルであるとは、
 A, Iからそれぞれ任意に a, xという元をとってきたとき
 ax\in{I}が成立することである。
"左イデアル"という言葉を使っていますが、 aを右からかけて Iの元になる場合は右イデアルと呼ばれ、 A可換環であれば左イデアルと右イデアルの区別は必要ありません。整数の性質を考えるうえでは環は可換としても差し支えないので、この記事では左イデアルをそのままイデアルと同様に扱います。
ここで、 Aの元 xについて、Aの任意の元をかけたもの全体の集合を (x)で表します。すなわち
 (x)=\{ax | a\in{A}\}
これは xを生成元とする単項イデアルと呼ばれます。
単項イデアルの簡単な例として倍数全体の集合があります。ある素数 pの倍数全体の集合は (p)と書くことができます。

次に素イデアルを定義します。

定義(素イデアル
 Pを環  Aの真のイデアル*2とする。 P Aの素イデアルであるとは以下が成立することである。
Aの元 a, bに対して
 ab\in{P}\Rightarrow a\in{P}または b\in{P}
以上でイデアルと素イデアルを定義しましたが、これらにより最初にあげた命題は
 a, b\in{Z}について ab\in(p)\Rightarrow a\in{(p)}または b\in{p}すなわち

 (p)が素イデアル

と環論の言葉を用いて書き換えることができるのです!興奮してきましたね。

ただ、あるイデアルが素イデアルであることを直接示すのって結構難しいです。*3
そこで素イデアルより強い概念である"極大イデアル"を導入して (p)が素イデアルであることを間接的に示します。

極大イデアル

定義(極大イデアル)
 Mを環  Aの真のイデアルとする。 M Aの極大イデアルであるとは次が成立することである。
 I Aイデアルとするとき M\subsetneq{I}\Rightarrow I=A
すなわち、自分以外の真のイデアルに含まれないということです。
ここで次の定理が成り立つことが極大イデアルの嬉しさです。
定理
極大イデアルは素イデアルである。
非常に申し訳ないのですが記事を出来るだけコンパクト*4にしたいのでこの定理の証明は割愛させていただきます。最後に (p)が極大イデアルであることを証明しましょう。

命題の証明

ここまで環論の知識を使ってきたわけですが、結局最後はユークリッドの互除法から導かれる以下の補題*5を利用します。(ユークリッドの互除法はすごい。)

補題
 a, bを整数とする。このとき gcd(a,b)=1ならば
 ax+by=1の整数解 (x, y)が存在する。
補題の証明は略します。それでは命題の証明をしましょう。まずは (p) Zの極大イデアルであることを示します。
命題の証明
 Iイデアルとして (p)\subsetneq{I}とする。このとき I-(p)\neq\emptysetだから a\in{I-(p)\subset{I}}がとれて、このとき apの倍数でないことと p素数であることから gcd(a,p)=1なので
 ax+py=1を満たす x, y\in{Z}が存在する。ここで p\in{(p)}\subset{I}であり、 Iイデアルであることより ax pyIの元となるから ax+py\in{I}
よって 1\in{I}となるが、 Iイデアルなので結局  I=Z*6となるから (p) Zの極大イデアルである。
そこで定理を使えば (p)は素イデアルとなるから命題が証明できた。(証明終)

おわりに

最後まで読んでいただきありがとうございました!思った以上に必要な概念が多く、証明をかなり省略してしまった部分があったのですが流れだけでも理解していただけると嬉しいです。素因数分解の一意性やユークリッドの互除法って高校生のときは全くありがたみが分からなかったんですが、環論を学んでいるとこれらが使える整数ってすごいんだなってことが分かって感動するので興味ある方はぜひ勉強してみてください。

参考文献

[1] 雪江明彦(2010)代数学2 環と体とガロア理論.日本評論社
[2] 永井保成(2022)講義:代数学序論(早稲田大学理工学術院)

おまけ

もうあっという間にクリスマスですね。僕のイチオシのクリスマスソングを聴いてください。
youtu.be
今年のクリスマスはコンビニケーキと冷めたチキンを用意しましょう。

*1:正確には±1倍を考慮する必要があります。

*2:真部分集合かつイデアルということ

*3: (p)が素イデアルであることを環論の知識で直接示す場合はZがPID(単項イデアル整域)であることを示す必要があります。

*4:任意の開被覆が有限部分被覆を持つという意味ではない。

*5:この補題はPIDにおいて一般化されます。

*6:イデアルIに1があるということはAのどんな元を1にかけてもIの元となるということなので結局I=Aとなります。

剰余群と準同型定理

はじめまして!数学科B2の「じふ」と申します。自分が所属しているサークルの企画として記事を書くことになりました。
今回は群論の重要な定理である「準同型定理」のお気持ちを「剰余群」の概念と絡めて理解していくという内容になります。
初めてのはてなブログTeXも1年近く触っていなかったので拙い記事となるかもしれませんが最後まで読んでいただければ幸いです。

剰余類

まずは群を考えるうえで非常に重要な
「剰余類」を定義します。

定義1
 H Gの部分群とする。このとき Gの元 xに対して
 xH=\left\{xh  | h\in{H} \right\} x Hによる左剰余類と呼ぶ。*1
 Gの元の Hによる左剰余類全体の集合を G/Hと表します。 G/H Gのある元による左剰余類をまとめて1つの元とみなしていることに注意してください。
このとき次の定理が成り立ちます。*2
定理1
 Gの元   x, yに対し
 xH=yH\iff x^{-1}y\in{H}
あんまり記事を長くしたくないのでこの定理の証明は割愛させていただきます。*3

正規部分群と剰余群

 G/Hという新しい集合を考えましたが、今は群論をやっているので、集合を考えたらそれを群として取り扱いたいです。集合を群として取り扱うためには演算が必要ですね。 G/Hの元は左剰余類なので、左剰余類についての演算を以下のように定義することを考えます。

定義2
 g,h\in{G},  N Gの部分群とする。このとき
 (gN)(hN)=(gh)N
実は、この定義は定義として不十分です。
定理1で示したように Gの元としては異なる元であっても剰余類にしたら同じものになる場合があります。よって、 gN=g'N, hN=h'Nとなるような g', h'を取ってきたときにちゃんと ghN=g'h'Nとなっているかどうかを確かめなければなりません。これはwell-definedと呼ばれる概念です。*4
この演算は、Nが「正規部分群」であるときにwell-definedとなります。
正規部分群の定義を以下に述べます。
定義3
 N G正規部分群であるとは
 N Gの部分群であり、 N,Gの任意の元 n,gに対し gng^{-1} \in{N}
が成立することである。このとき N\triangleleft Gとかく。
 N\triangleleft Gのとき定義2の演算がwell-definedとなることの証明
 gN=g'N, hN=h'Nとなるような g, h, g', h'\in{G}をとる。このとき (gh)^{-1}(g'h')\in{N}がいえれば定理1より ghN=g'h'Nが従う。
 (gh)^{-1}(g'h')\in{N}=h^{-1}g^{-1}g'h'で、 gH=g'Hより g^{-1}g'\in{N}だから g^{-1}g'=n\in{N}とかけて、 N\triangleleft G h^{-1}h'\in{N}より
 h^{-1}nh'=h^{-1}nhh^{-1}h'\in{N}
よって (gh)^{-1}(g'h')\in{N}
すなわち ghN=g'h'N (証明終)

 N\triangleleft Gのとき、左剰余類の集合 G/Nは上の演算について群となることを確かめてみてください。*5
この群を単に「剰余群」と呼びます。
剰余群の例を見てみましょう。

 G=C-\left\{0\right\}( Cから0を抜いたもの)、 N=\left\{z |  |z|=1\right\}とします。このとき G, Nはともに乗法に関して群となります。そして N\triangleleft Gが成立します。*6
このとき G/Nの元がどのようなものかを考えてみましょう。
まず、 G/N Gの元の Nによる左剰余類全体の集合なのでその元は g\in{G}を用いて gNと表されます。ここで定理1を用いると
 gN=hN \iff g^{-1}h\in{N}となりますが、 g^{-1}とはこの場合 gの逆数のことで、 g^{-1}h\in{N}とは g^{-1}hの絶対値が1になる、すなわち |g|=|h|ということです。まとめると、 gN=hN \iff |g|=|h| つまり、
 G/N偏角の違いは無視して絶対値が等しい0以外の複素数を全て1つの元としてまとめた群となります。ここでとても強引な推測をします。偏角の違いは無視...ってこれって0以外の実数の群とほぼ同じと考えられないでしょうか?実はこの考え方は正しく以下が成立します。
 G/N\cong\mathbb{R} -\left\{0\right\}
いきなり \congという記号が出てきましたが、これは「同型」を意味しています。

準同型定理

改めて準同型、同型の定義を以下に述べます。

定義4
 G, Hを群とする。このとき任意のx, y\in{G}について写像  f: G→H
 f(xy)=f(x) f(y)
を満たすとき f準同型写像と呼ぶ。
また、全単射準同型写像のことを同型写像と呼び、 G, Hの間に同型写像が存在するとき G H同型であるといい G\cong Hと書く。
準同型とは簡単に言えば
「群の演算と写像が可換」ということを意味しています。剰余群の例として上に挙げた Gから Nへの写像 f: z\mapsto\frac{z}{|z|}が準同型であることを確認してみてください。
準同型写像について以下の事実が成立します。
補題1
 G, Hを群とする。 f: G→H準同型写像であるとき,
 \textrm{Ker} f\triangleleft G
証明
 G, H単位元をそれぞれ e, e'とする。
 f準同型写像のとき、
 f(e)f(e)=f(e)より f(e)=e'であり、これより
 f(x)f(x^{-1})=f(xx^{-1})=f(e)=e'
 f(x^{-1})f(x)=f(x^{-1}x)=f(e)=e'
だから f(x)^{-1}=f(x^{-1})が成立する。よって、
任意の x\in{\textrm{Ker} f}について f(x^{-1})=f(x)^{-1}=e'より x^{-1}\in{\textrm{Ker}f}
また、任意の x, y\in{\textrm{Ker}f}について f(xy)=f(x)f(y)=eより xy\in{\textrm{Ker}f}
以上より \textrm{Ker} f Gの部分群である。
また、任意の g\in{G}, n\in{\textrm{Ker} f}について
 \begin{eqnarray}
f(gng^{-1}) &=& f(g)f(n)f(g^{-1}) \\
  &=& f(g)f(g^{-1})\\
 &=& e'
\end{eqnarray}
より、 gng^{-1}\in{\textrm{Ker} f}
以上より \textrm{Ker} f\triangleleft G (証明終)

2つの群が同型であるとき、2つの群は群としての性質が一致します(たとえば可換群と同型な群は必ず可換群です*7)。よって、ある群と同型な群を見つけるということは数学的にとても意義のあることになります。
準同型と同型について軽く説明したところで、最後に以下の定理を紹介します。

定理2: 準同型定理
 G, Hを群とする。 f: G→H準同型写像であるとき,
 G/\textrm{Ker}f \cong \textrm{Im}f
(※)補題1より \textrm{Ker}f\triangleleft Gが成立するので G/\textrm{Ker}fは群になっています。また、 \textrm{Im}f Hの部分群です。(証明略)
この定理を詳しく証明することはせず、お気持ちだけを話します。
この定理が言ってることは「準同型があれば同型が作れるよ!」ということです。
 \textrm{Ker}f \textrm{Im}fが出てくる理由を理解すればこの定理をスッキリ頭に入れることができます。
準同型写像が既に存在するので、そこから同型写像を作るには全単射を作ればいいです。
そこで、写像の終域を \textrm{Im}fにすることで全射にしています。これは想像しやすいですね。
重要なのは \textrm{Ker}の出てくる理由です。 fは一般には単射ではないので、 \textrm{Im} fのある元 yを取ってきたとき、 fによってそこに飛ぶような Gの元は複数存在すると考えられます。
イメージ図を下に示します。

あるyに行くGの元の集まりを同じ色で塗りつぶして表しています。
ここで「同じ色で塗った部分を1つの元としてみれば単射になる」ということに気づきましたでしょうか?
そして剰余群の例にもあったように、剰余群とは「ある”関係”を満たす元を1つの元としてまとめた」群です。勘の良い方はもうお気づきでしょう。この同じ色で塗った部分こそが G/\textrm{Ker}fの元なのです。これアツくないですか。最後にこれを補題として確認して終わりにします。同じ色で塗りつぶした部分は y fによる逆像、すなわち f^{-1}(y)といえますね。(一般には逆写像ではなく逆像であることに注意してください)。
補題2
 G, Hを群とする。 f: G→H準同型写像であるとき,
すべての y\in{\textrm{Im}f}に対しある x\in{G}が存在して
 f^{-1}(y)=x\textrm{Ker}f
証明
 y\in{\textrm{Im} f}について f(x)=yとなる x\in{G}は必ず存在するのでその xを用いる。
まずは f^{-1}(y)\supset x\textrm{Ker}fを示す。
任意の x\textrm{Ker} fの元は \textrm{Ker} fのある元 nを用いて xnと表せる。
 \begin{eqnarray}
f(xn) &=& f(x)f(n) \\
  &=& f(x)= y
\end{eqnarray}
より、 xn\in{f^{-1}(y)}
よって f^{-1}(y)\supset x\textrm{Ker}f
次に f^{-1}(y)\subset x\textrm{Ker}fを示す。
任意の g\in{f^{-1}(y)}に対し
 f(x)=y, f(g)=yより f(x)=f(g)
 f(g^{-1})f(x)=e'  fは準同型なので
 f(g^{-1}x)=e' だから g^{-1}x\in{\textrm{Ker}  f}
よって定理1より g\textrm{Ker}  f = x\textrm{Ker}  f  g\in{g\textrm{Ker}  f}だから
 g\in{x\textrm{Ker}  f}ゆえに
 f^{-1}(y)\subset x\textrm{Ker}f
以上より f^{-1}(y)=x\textrm{Ker}f (証明終)

以上まとめると、準同型写像があったときに \textrm{Im}を用いて全射 \textrm{Ker} を用いて単射にして同型を作るのが準同型定理の意味だということです!

おわりに

ここまで読んでいただきありがとうございました。
私は最初に群論を勉強したときに剰余群でつまづき、準同型定理が何を言っているのかわかりませんでした。
そんなときに受けた代数学の授業で準同型定理の意味を知りとても感動したので、剰余群との繋がりも意識して記事としてまとめた次第です。
今後も代数学に関する記事を書いてみたいと思っています!
何か質問やツッコミがあれば私のTwitter(@mafigure0608)にDMでご連絡お願いします。

参考文献

[1] 雪江明彦. 群論入門 / 雪江明彦著. 東京, 日本評論社, 2010

おまけ

最近メチャクチャ暑いですね。
こんな季節に聴きたくなる曲が乃木坂46の『逃げ水』ですよね。
今まで聴いてきた夏曲の中でもかなり好きなのでぜひ聴いてください。
youtu.be

*1:「左剰余類」があるのでもちろん「右剰余類」もありますが、Hが正規部分群であるときは左剰余類と右剰余類は一致し、この記事の本題となる準同型定理ではそのような場合だけを取り扱うのでこの記事では「剰余類」といったら単に左剰余類のことを指すと考えて大丈夫です。

*2:雪江明彦先生の「代数学1 群論入門」では x^{-1}y\in{H} を同値関係とする商集合として左剰余類を定義していますが、これよりも定義1の方が圧倒的に定義のイメージがしやすいので本記事ではそれを定義として採用しています。定理1と同値類の性質によりどちらを定義にしても問題ないということが保証されます。

*3:普段は「この証明は読者への演習問題とする」にキレている私ですが、自分で記事を書いてみると証明を略したい気持ちがわかりますね。証明は至って簡単で、 x^{-1}y\in{H}のときある h\in{H}を用いて x^{-1}y=hとかけることを利用します。

*4:well-definedは一般には同値類を元とするような写像を考えたときに必要となる概念です。剰余類も同値類の一種なのでwell-definedについて考える必要があります。well-definedを理解するにはまずill-definedな例を調べてみるといいと思います。

*5:単位元はNとなります。

*6:絶対値1の複素数は逆数も絶対値1で、絶対値1の複素数どうしを掛け算しても絶対値は1なので部分群。実数の演算なので可換だから gng^{-1}\in{N}もすぐに言えますね。

*7: G\cong Hのとき、 Hの任意の2つの元は x, y\in{G}を用いて f(x), f(y)と表すことができ、準同型より f(xy)=f(yx)となることから従います。